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EXPOレポート

万博会場からDNP社員がレポートをお届けします。

2025年8月7日

【特別編】1958年以降の万博をグラフィックでたどる展覧会
「モダン・エキスポ・ポスターズ」開催!

公益財団法人DNP文化振興財団※1は、京都市下京区にある京都dddギャラリー※2で、「モダン・エキスポ・ポスターズ:グラフィックでみる現代の万博」(2025年6月13日~8月20日)を開催。現在開催中の大阪・関西万博の開催に合わせて企画しました。本企画では、主に同財団が所蔵する2万点を超えるポスターから、万博に関する作品を展示。万博の公式ポスターには歴代万博のテーマが反映されており、時代や社会の変遷を感じ取れる面白さがあります。今回は、この展覧会の企画担当者である学芸員がレポートします。

DNP創立130周年記念事業の一つとして設立。印刷技術と密接不可分の関係にあるグラフィックデザインやグラフィックアートの芸術性、文化性を人類共通の重要な財産としてとらえ、これらの普及振興を通して人類の文化の向上・発展に寄与することを目的とする。
公益財団法人 DNP文化振興財団

大日本印刷株式会社の関西での文化活動の場として1991年に大阪・堂島に開設された、グラフィックデザイン・グラフィックアート専門ギャラリー「DNP Duo Dojima (略称ddd)」を前身とする。2008年からは公益財団法人DNP文化振興財団が運営。2014年の京都移転を機に現名称に。
京都dddギャラリー

グラフィックアートから読み解く、開催国が万博に込めたテーマ

DNP文化振興財団は、展示事業のほかに、グラフィックデザインとグラフィックアートの優れた作品と関連資料を貴重な文化遺産として次世代へ継承するため、収集・保存を進めるアーカイブ事業を行っています。今回の展覧会では、財団のコレクション方針である「戦後日本のグラフィックデザイン」に基づき、広範な万博の歴史の中から、1958年以降に開催された計14回の万博※3に関するポスターを選びました。また、アーカイブに所蔵されていない作品は、博覧会国際事務局(BIE)や上海の万博博物館の協力を得て、展示しています。
初期の万博は、展示品を中心に「見て」「楽しむ」ものでしたが、1958年のブリュッセル万博以降は基本理念となる統一テーマがより重視されるようになり、近年は社会課題の解決のために参加者が皆で「考える」場へと変化してきました。本展は、約70年にわたる現代万博の歴史をグラフィックから読み取り、個々のテーマに込められた理念や目的をたどる機会になることを願い、企画したものです。

1958年のブリュッセル万博から2025年の大阪・関西万博までの11回の登録(一般)博覧会に加え、沖縄とつくばで開催された2回の認定(特別)博覧会、さらに大阪で開催された国際園芸博覧会を含めた回数

日本で最初の万博開催となった「EXPO'70」のポスター

戦後初の一般博となった1958年ブリュッセル万博以降のポスターを時系列で展示

万博の社会的な意義を象徴する、代表的な公式ポスター

ご来場の方々は、過去の万博のポスターを興味深そうに見ておられました。社会的メッセージを強く押し出した近年のポスターの前では、じっくりと考えを巡らせながら鑑賞されている様子も伺えます。いずれも一見の価値があるポスターですが、ここでは特にご覧いただきたい2作品をご紹介します。

《1970年日本万国博覧会(第1号公式ポスター)》1967年 作者:福田繁雄

複数制作された大阪万博の公式ポスターのうち、最も早く制作された作品。「日本のエッシャー」とも称され、「だまし絵の名手」としても知られる作者によるものです。中央の地球のような球体と周りの5つの球体の落とす影が、万博のロゴになっています。
開催中の大阪・関西万博のロゴマークの目の部分は、このロゴからもインスピレーションを受けてデザインされています。

1970年大阪万博の第1号公式ポスターは、影の部分が万博のロゴに

《2020年ドバイ国際博覧会 日本館ポスター》2018年 作者:増田豊

日本館のロゴマークを大きく配したポスター。一見、赤い四角の上に白い円が載っているように見えるデザインですが、実は大きさも形状も違う赤い三角が4つ円状につながって構成されています。多様な人々が集い、手をつないで輪になることで共感し合う状態をイメージしてデザインされました。
近年の万博が「人類共通の社会課題の解決策を提示する」という理念提唱の姿勢を求められていることが、このロゴからも読み取れます。

2020年ドバイ国際博覧会 日本館のポスターは、大きく配されたロゴマークが印象的

グラフィックデザインの文化的価値を未来に受け継いでいきたい

これまでポスターは、掲示期間が終わると役割を終える、一時的なメディアとして扱われてきました。しかし近年では、ポスターが持つ文化的・歴史的な価値に注目が集まり、重要な文化遺産のひとつとして美術館などで収集・保存されるケースも増えてきています。
私たちは、「DNPグラフィックデザイン・アーカイブ」を2000年に設立して以来、グラフィックデザインに関する作品や資料の収集・調査・保存活動を継続し、現在では230名以上の作家による約2万点のポスターを収蔵しています。今後も、運営するギンザ・グラフィック・ギャラリー※4と京都dddギャラリーの2つのギャラリーでの展示活動や、外部の展覧会への協力などを通して、未来へと受け継いでいきたい作品の価値をより多くの人に伝えてまいります。​

グラフィックデザインの専門ギャラリーとして3つのgの頭文字から「スリー・ジー(ggg)」の愛称で親しまれる。1986年、大日本印刷株式会社が文化活動の一環として、創業の地であり画廊のメッカでもある銀座に設立。展覧会やレクチャーの開催、gggBooksなどの出版活動を継続し、グラフィックデザインの素晴らしさと出合う機会を提供している。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー

関連サイト

京都dddギャラリー第247回企画展

モダン・エキスポ・ポスターズ:グラフィックでみる現代の万博

私が行ってきました!

DNP文化振興財団

森﨑