大日本印刷 マーケティング本部
もたい
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EXPOレポート
万博会場からDNP社員がレポートをお届けします。
2025年8月27日
2025年6月10日、大阪・関西万博「食と暮らしの未来ウィーク」にて、「世界的な植物油のニーズに応えるインドネシア産パーム油の持続可能性」をテーマとするプログラムが開催されました。プログラムではDNP社員が登壇。今回はその様子をDNPのマーケティング本部のメンバーがレポートします。
インドネシアは年間4,500万トンを超えるパーム油を生産し、世界トップの生産量・輸出量を誇っています。パーム油産業はインドネシアにおける基幹産業の一つで、雇用創出や外貨獲得にも大きく貢献しています。今回のプログラムは、インドネシアにおけるパーム油産業の生産性と持続可能性の向上を目指し、成功事例や提言・意見を交換する場として開催されました。大阪・関西万博のインドネシアパビリオン会場には約50名の聴講者が集まりました。DNPの北澤琢磨はSpace Tech Accelerator株式会社※1の代表取締役CEO平賀元気氏とともに、「サプライチェーン情報統合・衛星データ活用によるトレーサビリティ強化の提案」をテーマに発表しました。
2023年設立。宇宙技術シーズを活用した新たなビジネスを創出する企業。宇宙技術の社会実装、宇宙ビジネス開発を事業内容とする。
Space Tech Accelerator株式会社
DNPでは、サステナブルな農産物サプライチェーン構築を支援するためのデジタル技術活用に注目。既存のサプライチェーンデータに、人工衛星によるリモートセンシングデータの分析結果や、農産物や生産地の認証におけるデジタル技術を組み合わせた、生産支援とトレーサビリティのシステム開発に着手しています。Space Tech Accelerator株式会社を代表とする日本企業チームの一員として「サステナブル調達に寄与する衛星データを活用したパームヤシ農家支援アプリ」をインドネシア政府やパーム油産業関係者へ提案したことが評価され、今回の発表につながりました。
まず、プログラム前半では、インドネシア政府や農業関連団体、パーム油企業、森林保護団体などから講演がありました。インドネシアのパーム油産業は国民1,300万人以上が関わる基幹産業であり、食品や消費財、バイオマス燃料として世界のニーズに応えるサステナブルな成長が不可欠であること。また、国際的な認証制度も整備され、透明性が求められる中、経済成長と環境保護の両立、そして企業にとってのESG※2経営が最重要課題であるとの提言がありました。
Space Tech Accelerator平賀元気氏からは、広大な国土と複雑なサプライチェーンにより、パーム油生産とトレーサビリティに関わる現状把握ができていないという課題を確認。衛星データによって農園区画やパームヤシ生育状況を把握し、認証機能を持ったアプリで生産地や時期、生産量を明確にしてトレーサビリティに活用することを提案。森林資源管理とパーム農家生産性向上の両立を支援するシステム開発に着手したことが発表されました。
DNPの北澤琢磨は、多様な業界との取引で培った豊富なデータ処理、運用、認証技術、生成AI活用、ユーザーインターフェイス関連の経験と強みがあることを紹介。これらを活かして、農家や関連団体が使いやすい生産支援と生産地証明の機能を持ったアプリを開発し、そこに新たに人工衛星データの分析・評価の機能を実装する計画があることを発表しました。プログラム後半の質疑応答では、エネルギーや食品・消費財、住宅、インフラ企業など幅広い参加者から、各発表者へ活発に質問が寄せられていました。
DNPでは今後、インドネシアのパーム農園関係者へアプリのプロトタイプを提供し、生産支援や認証技術の評価実証を進める予定です。また、パーム油だけでなく、他の農産物生産においても環境保全と経済活動を両立させることを支援するサービスを構想し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の各頭文字を取った言葉。企業が長期的に成長するためには、経営においてESGの3つの観点が必要との考え方が世界中で広まっている。
「インドネシアパーム油のサステナブル支援アプリ」について発表しました
Q&Aセッションでは、インドネシアのパーム油産業や森林資源活用に関して、聴講者との質疑応答が行われました
今回、インドネシアの関係者の発表からパーム油産業や森林破壊の状況をリアルに伺い、理解することができました。また、日本企業を含めた聴講者との真摯な質疑も交わされ、社会課題の解決に向けてDNPが果たせる役割と、未来の事業に向けた可能性を改めて感じる貴重な機会となりました。「ESGによるSDGs達成」という視点では、世界的なパーム油のサプライチェーンには、食品メーカーや消費財メーカーを中心に多くの日本企業が関わっています。インドネシア関係者だけでなく、日本企業も含めた解決の方向として支援や協力の可能性があると実感しました。例えば、認証制度やトレーサビリティへのデジタル技術活用など、DNPが多岐にわたる分野でサポートできると感じました。さらには、人工衛星データの分析を加えることで、サプライチェーンの透明度を高めることが可能と考えられます。社会課題の解決に貢献するとともに、DNPの新たな事業領域を切り拓くという強い意志で挑んでいきたいと考えています。
当日参加された日本企業の方からは、「なぜ印刷会社が人工衛星データ活用に取り組んでいるか、今日聴講するまで想像できなかった。発表を聴いてよく理解できた」との感想をいただき、DNPが宇宙の価値を活用したビジネスに挑戦していることをアピールできたと感じました。
今回、「サステナブルな農産物サプライチェーン構築のため、人工衛星データなどの技術活用」について具体的な取り組みを発表できたのは、本当に良い機会でした。これからも、地球環境の持続性を支援しながら、人々の暮らしをより豊かにすることを目指して、我々の挑戦をアピールしたいと思っています。
講演会の後、登壇者の方々と記念撮影
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