クラシエ株式会社様
リサーチで見えた海外市場の全体像と自社の課題
思うように進まなかった海外展開の突破口が明らかに
「人を想いつづける」を基本理念に掲げ、トイレタリー・コスメティックス・医薬品・食品の分野で多くの人に愛される商品を展開しているクラシエ株式会社様。次世代素材で作ったスナック食品を中国で販売するにあたり、DNPの調査サービス「DNPアジアマーケティングリサーチ」を活用いただきました。
本記事では、同社のフーズカンパニー マーケティング室機能食品部に所属する柿本様に、サービスを活用した経緯や活用方法についてお話を伺いました。
(2025年7月公開)
DNPアジアマーケティングリサーチ活用の経緯|商品を中国で展開するための課題が見えていなかった
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クラシエ株式会社フーズカンパニー
マーケティング室機能食品部
柿本様
–はじめに、御社の事業内容をお聞かせください。
クラシエ株式会社は、トイレタリー・コスメティックス、医薬品および食品の製造販売を行っています。2023年10月に、クラシエホームプロダクツ株式会社、クラシエ製薬株式会社およびクラシエフーズ株式会社の統合が行われ、現在は、各事業がこれまで培ってきた機能や知見を活用し、シナジーの実現に取り組んでいます。
私は、フーズカンパニーマーケティング室機能食品部に所属し、「甘栗むいちゃいました」など素材菓子を中心とした商品開発・マーケティング全般を担当しています。当社には「甘栗むいちゃいました」の発売をきっかけとして、微生物制御技術を植物性素材に活用した素材菓子の開発を進めてきました。こうした経緯があり、現在、機能食品部では、次世代素材から作ったスナック食品を展開する新たな市場の開拓に注力しています。
–DNPアジアマーケティングリサーチを活用するに至った背景をお聞かせください。
実は、DNPアジアマーケティングリサーチを活用する前に、次世代素材から作ったスナック食品を中国に持ち込み、自社で調査を行いました。現地の方が好む味付けで製造した商品を実際に食べてもらいましたが、良い評価を得ることができませんでした。
当社の「甘栗むいちゃいました」には中国河北省の天津甘栗を使っており、原料調達、焼成、皮むきは河北省の工場に依頼しています。そのため当社のなかに、現地の方の嗜好やライフスタイルを理解しているという考えがあったのですが、自社調査での認識の甘さを痛感しました。この結果に、私個人としても大変なショックを受けました。
さらに、自社調査を終えた段階では、何が原因で商品が受け入れられなかったのか見当がついていない状況でした。味付けが原因の可能性もあり、次世代素材を使っている点が原因の可能性もあったのです。このように自社調査により商品が受け入れられないという事実は明らかになったものの、問題を解決する糸口を掴めずにいました。
–DNPアジアマーケティングリサーチを知った経緯を教えてください。
自社調査の結果をふまえて「無策で中国に展開するのは危険だ」と上司と会話していたタイミングで、DNPからメールが届き、DNPアジアマーケティングリサーチの存在を知りました。当社は商品包装用のパッケージ製造でDNPとお付き合いさせていただいていましたが、同社が調査サービスを展開していると知らず、驚いた記憶があります。一方、日頃からお世話になっているDNPであれば、当社の課題を正確に把握したうえで調査してくれるのではないかと考えました。
調査サービスの概要を聞くと、現地出身のリサーチャーが優秀な部下のような立ち位置で柔軟に調査を行ってくれるとのことだったため、問題解決の糸口が見えていない当社の状況に最適だと感じました。このような考えがあり、DNPアジアマーケティングリサーチの活用を決めました。
DNPアジアマーケティングのプロセス|調査に着手する前の工程が丁寧で、レポートの情報の質と量に驚いた
–DNPアジアマーケティングリサーチはどのようなプロセスで進みましたか?
はじめにDNPの担当者とともに次の内容を整理する工程がありました。
・調査を通じて知りたい情報
・調査の目的およびゴール
・当社における顕在的な課題および潜在的な課題
当社とのディスカッションを経て、DNPの担当者がこれらの情報を精緻に整理してくれたため、この時点で当社として何を目指して調査を行うべきかを言語化できました。調査に着手する前の工程が想像以上に細かく丁寧だったため、私のなかでDNPアジアマーケティングリサーチに対する期待が大きく膨らんだことを覚えています。
その後は、現地出身の優秀人材のリサーチャーが実際に手を動かしてくれて、私のもとに週次のレポートが届きました。
1週目のレポートで自社の課題が明確になった
–1週目のレポートには、どのような内容がまとめられていましたか?
調査前のディスカッションを通じて、私たちは「次世代素材で作ったスナック食品に関する中国の市場を正確に把握する」という目標を立てていました。そのため、1週目のレポートには、スナック食品の市場に関する情報がまとめられていると考えていたのですが、実際のレポートを確認し、情報の質と量に驚きました。
1週目のレポートは約50ページに及び、はじめに次世代素材を用いた食品の市場規模と展望が記されていました。そのうえで、「スナック食品」のみならず、「飲料」「ヨーグルト類」「ベジタリアン向け商品」「機能性食品」というカテゴリ分けがなされ、それぞれの市場規模および展望が記載されていたのです。
この時点で情報量に圧倒されましたが、さらに「データを裏付けする報道からの抜粋」「政府による政策」「各カテゴリの具体的な商品例」がまとめられていました。このように調査開始から1週間で詳細な情報を得ることができ、中国市場に関する次のような特徴を理解することができました。
・商品カテゴリ分けが、中国と日本で異なること
・中国における価格感覚の違い
・オフラインとオンラインにおける戦略
1週目のレポートにより、当社の課題が明確になったのです。特にカテゴリ分けに対する日本と中国の違いは盲点でした。
2週目のレポートで中国展開の勝機とチャンスが見えてきた
–2週目のレポートには、どのような内容がまとめられていましたか?
2週目のレポートには、現地で販売されている類似商品40種類に関する詳細な情報がまとめられていました。商品が「大量生産品」「健康食品」「高単価商品」「特別な味わいの商品」に分けられ、それぞれについて「商品名」「ブランド」「特徴」「評価」「活用シーン」が記載されていました。
これにより現地における類似商品を体系的に理解できました。驚いたのは、中国では、お酒とともにスナック食品を楽しむシーンが少ないという事実です。2週目のレポートでは、このような消費者の生活に沿った深掘りがなされており、当社として狙うべき市場、現地で受け入れてもらうために注意すべき具体的なポイントが見えてきました。1週目のレポートで当社の課題が明確になり、2週目のレポートで勝機やチャンスが見えてくる構成は大変素晴らしかったです。
また、2週目のレポートを受領したタイミングで、リサーチャーと打ち合わせさせていただく機会がありました。打ち合わせでは、レポートに直接表れないような次の点に関するフォローを受けることができました。
・定量的な結果の裏付けとなる定性的な背景の説明
・定性的な背景を考慮したうえでのアドバイスおよび提案
リサーチャーは、当社の製品を自ら食べたうえで率直な感想を伝えてくれたのみならず、現地出身の友人からも広く感想を募り報告してくれました。このように打ち合わせを通して、リサーチャーによる丁寧なフォローがあり、私としても情報量が多いレポートを効率的に理解できたと感じます。
DNPアジアマーケティングリサーチの成果|調査開始から1カ月で中国市場をイメージできるようになった
–DNPアジアマーケティングリサーチを活用されて、どのような成果がありましたか?
自社では取得できないような詳細かつリアルな情報を得られた点が最大の成果です。私は中国語の読み書きができるのですが、私が行ったインターネット検索では得られないような情報がレポートにまとめられていました。
短期間でこれだけの情報を得られた点も成果の1つです。自社調査の結果を受けて、2025年のテーマの1つとして次世代素材で作ったスナック食品の調査に関する予算を確保しようとしていたタイミングでDNPアジアマーケティングリサーチを活用できたため、想定よりも数カ月早く調査結果を得られたと感じます。何が課題かも分からない状態から、約1カ月で、中国の市場を定量的かつ定性的にイメージできるようになり、商品を展開するうえでの課題と対処法、勝機が見えてきた点に驚いています。
また、今回はレポートを中国語で作成してもらいました。そのため、今後現地の企業との商談の際に、今回のレポートをそのまま活用できると考えています。
コンセプトを設計し、商品のブラッシュアップを進める。DNPとともに新たな市場開拓を成功させたい
–今後の展望をお聞かせください。
DNPアジアマーケティングリサーチの活用により中国の市場をイメージできるようになったため、今後は狙うべき市場や具体的なペルソナに関するコンセプトを精緻に設計し、商品をブラッシュアップしたいと考えています。調査を通して理解できた現地の状況をふまえて、商品を展開するエリアを変更する選択肢もあります。
このように、次世代素材から作ったスナック食品の新たな市場を開拓するために、現在取り組むべき業務が具体的に見えてきたのはDNPアジアマーケティングリサーチのおかげです。当社としては、今後の取り組みもぜひDNPと一緒に進行したいと考えています。
この度、DNPアジアマーケティングリサーチを活用し、当社単独では得られなかったさまざまな情報を早期に得ることができました。ここからDNPとともに現地における商品展開の戦略を練り込み、リスクをコントロールしたうえで新たな市場の開拓を成功させたいです。
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※本レポートは、インド市場へオーガニック味噌の販売を強化する場合を想定して作成しました。
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