【大阪・関西万博】「本棚の海に、自分色のクラゲを泳がせよう」 ワークショップ開催レポート
DNPは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への参画を契機に、「未来のまなび」の魅力を高める取り組みの一つとして「いのちの遊び場 クラゲ館」でワークショップを開催しました。本ワークショップでは、オリジナルの本棚と本を設置した「本のある場」を用意し、訪れた生活者が偶然1冊の本と出合い、想像力を働かせ、表現し、共有し合う新たな読書体験を提供しました。当日の様子をレポートします。(2025年5月公開)
ワークショップ実施の背景
日本国内の自治体のうち27%強(*1)には書店がなく、本に気軽に親しめる環境には地域格差が生じているのが現状です。特に、子どもの頃(*2)の読書体験は、考える力や心の動きを高める傾向があるとされており、すべての子どもが本に親しめる環境を整えることは、社会として解決すべき重要な課題です。
DNPは、書店業以外の事業者が従来のサービスに“本”を組み込むことで、利用者の体験価値を高める「DNP書店開業支援サービス」(*3)を軸に、イベントスペース等さまざまな場所に書店やライブラリなどの「本のある場」を作るサービスを提供しています。また単に本を手に取り、購入できる環境を整備するだけではなく、読書への関心や興味を高め、主体的な読書活動を支援するツールの提供やワークショップの実施を通して、本を楽しむきっかけづくりにも取り組んでいます。身近に本がある環境を整え、本を活用した新しい気づきや学びを提供することは「未来のまなび」の一つであると考えています。
*1:出版文化産業振興財団(JPIC)調べ 2024年3月時点
*2:小学校高学年、中学校、高校を指す
ワークショップ実施概要
タイトル: 本との出合いを楽しもう~本棚の海に、自分色のクラゲを泳がせよう~
場所 : 大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン 「いのちの遊び場 クラゲ館」地上(いのちのゆらぎ場)
実施日時: 5月17日(土)10:30~15:30
対象 : 当日来場者(年齢、国籍など問わずどなたでも)
※「いのちの遊び場 クラゲ館」のワークショップについて
万博会期中、「いのちの遊び場 クラゲ館」 では、「他者との交流でいのちを互いに高め、自らの問いを見つけ、多様ないのちの創造性をひらく体験」をコンセプトに、国内外の教育機関、企業、団体などがさまざまなワークショップを実施しています。
ワークショップの詳細
【本のある場づくり】
クラゲ館ワークショップエリアに本棚と本を置き、本を自由に手に取れる環境を提供しました。本は、クラゲ館のテーマ「いのちを高める」クラゲプロジェクトシンボル8色*のキーワード「こどもの心」「わくわく楽しい」「可能性」等をテーマにした選書で構成し、参加者には本を自由に手に取っていただきました。
また、本の配架にはDNPが手軽に「本のある場」を作れることを目的として開発を進めている簡易段ボール什器を利用しました。分解して梱包できるので持ち運びしやすく、組立設置や片付けも短時間で簡易にできました。
【偶然の本との出合い】
まず各自に配布されたワークシートに示された色を頼りに、本棚に並んだ指定されたテーマの色から気に入った本を1冊選びます。色の指定があることで普段手に取ることがない偶然の本との出合いを楽しんでいただきました。
【本を通じた表現と気づき・交流】
本を見たり読んだりして湧き出た気持ちを、オリジナルのクラゲ型のワークシートに色を塗ることで表現してもらいました。出来上がったクラゲ型のワークシートは水面をデザインした本棚に各自で貼ってもらい、本棚の海にそれぞれが作ったクラゲを泳がせる試みを楽しめる仕掛けにしました。また、他の人の作品を見て、本の感じ方の多様性について気づきを得ることを体験していただきました。
|
参加者の声
・自分の知らなかった本を通じて、インスピレーションを働かせるのがとても楽しかった。
・思っていたよりずっと楽しかった。絵本の『スイミー』のお話に感動した。
・改めて読んでいい作品だと思いました。
・もとの白黒の絵から想像するのが楽しかった。
・新しい経験が出来て良かったです!
・小さい子どもたちが楽しそうで良かったです。
主に未就学児親子の参加者が多く、親子で絵本を読み、感じ合う時間を楽しんでいました。また、大人の参加者からは「久しぶりの本で楽しかった」「童心に戻れた」といった感想が寄せられました。自分の作品が本棚に貼られるとうれしそうに写真を撮る姿も多く見られました。
これからのDNPの取り組みについて
DNPは、「本のある場」を作り、本との新しい出合い方を体験する機会の提供を通じた読書環境整備に取り組んでいます。生活者により良い読書環境を整えるため、本との出合い方、より快適な読書、本を通じたコミュニケーション等について研究・ビジネス開発を行っています。また、本を通じた人と人との出会いを生み出すことで、本を活用した新たなサービス開発を進めています。今後も読書環境をより良くするサービスを開発し、法人や自治体等への提供を進めていきます。