販促物の「製造」「保管」における課題とは?
【連載-販促物管理のポイント 第5回】
販促物を管理する際には、「製造」「保管」「注文」「配送」という四つの工程があります。本コラムでは、「製造」と「保管」の工程に焦点を当て、具体的な課題を販促物のサプライチェーンに沿って確認していきます。
販促物のサプライチェーン
販促物が注文者の手に届くまでの流れは以下の通りです。
①商品や目的に応じて販促物計画を策定、販促物の種類や部数を決定し「製造」
②製造した販促物は倉庫で「保管」
③店舗や営業所から「注文」
④発送リストを倉庫へ連携し納品先に「配送」
その後、配送された販促物のデータを収集・分析し、次期販促物制作に役立てるというサイクルが続きます
|
上記の「製造」と「保管」において、販促物管理の担当者はどのような課題を感じているのでしょうか。次の章から各工程について詳しく見ていきましょう。
工程1:製造 ~製造数の最適化が鍵~
多様な販促物の種類
販促物にはチラシ、ポスター、カタログ、店頭POP、ステッカー、イベント用ののぼりや什器など、さまざまな種類があります。
製造コストの変動要因
製造コストは、使用する紙の種類や特急対応の有無、製造部数によって変動します。販促物はキャンペーン期間など期間限定で使用されることが多いため、商品と比較し短期間の使用期限設定となることが一般的です。
廃棄コストの問題
初回に大量に製造するとコストメリットが大きいですが、使用期限を過ぎると販促物は廃棄せざるを得ず、その際には廃棄コストが発生します。このような状況では、製造コストと廃棄コストが重なり、無駄が生じます。
環境への配慮と持続可能性
廃棄はコストの問題だけではありません。企業は持続可能性を追求し、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが求められる時代です。廃棄による環境への影響も無視できず、企業としての社会的責任が問われています。販促物の多くは木材を原材料としており、伐採による二酸化炭素の排出増加や森林伐採といった環境問題への配慮が必要です。
オンデマンド印刷サービスの活用
廃棄を削減する方法として、オンデマンド印刷サービスがあります。必要な部数を必要なタイミングで製造できるため、在庫を持たずに廃棄を防ぐことが可能です。ただし、製造コストは大量生産よりも高くなることが一般的なので、販促物の種類や利用サイクルを見極めて製造方法を選ぶ必要があります。
工程2:保管 ~商品と販促物では管理方法が異なる!?~
倉庫での保管プロセス
製造した販促物は、店舗や営業所へ直接配送するのではなく、一旦倉庫で保管されてから発送されるのが一般的です。メーカー企業では、商品と販促物を同じ倉庫で管理し、発送業務も同じ場所で行うことがよくあります。
発送準備の手間
販促物は商品梱包とは異なり、注文を受けてからピッキングや梱包を行うため、発送準備に時間と手間がかかります。このため、繁忙期には商品発送業務が優先され、販促物が求めるタイミングに届かないという問題が生じます。
商品と販促物の分離管理
求めるタイミングに届くようにするためには、商品と販促物を別々に倉庫保管し、それぞれの発送業務に影響を与えないようにすることが重要です。
保管コストの削減
使用期限内であっても、一定期間が過ぎた販促物は廃棄されることがあるため、出荷の需要を見極め、保管スペースを縮小することで保管コストを削減できます。
まとめ
販促物管理の「製造」「保管」について販促物のサプライチェーンに沿って紹介いたしました。
ポイントについてまとめると以下の通りとなります。
■製造
[課題]
廃棄コストの削減
[解決方針]
需要を見極めた製造数計画の策定、需要に応じた製造方法の検討
■保管
[課題]
発送遅延の防止
[解決方針]
商品と販促物を切り離した運用設定の策定
[課題]
保管コストの削減
[解決方針]
不要在庫の廃棄による保管スペースの縮小化
多様な要因によってコストがかさむ販促物管理ですが、
今回ご紹介した解決方針を取り入れることで、さらなる効率化が期待できます。
DNPでは販促物における製造・注文・在庫管理業務を効率化するサービス「DNP販促物受発注在庫管理システム Connecting One(R) Cloud(コネクティング・ワン クラウド)」を提供しています。
詳細は下記のリンクよりご確認ください。
Connecting Oneは、DNP大日本印刷の登録商標です。
(2025年8月時点の情報です)
■連載コラム【販促物管理のポイント】シリーズ
第1回: 販促物の過剰在庫や欠品を防ぐカギは?
第2回: みんな悩んでいる「販促物の在庫管理方法」、販促物受発注システムでどこまで解決できる?
第3回: 販促物管理のコスト削減をめざすときに最初に取り組むべき二つの対策
第4回: 事務作業の改善で生産性向上を 効率化の5つのポイント
第5回: 販促物の「製造」「保管」における課題とは?(現在のページ)