鉄本来の素材感を生かす黒皮鉄とは?特徴とメリット・デメリットを紹介
建材が持つ風合いは、空間の印象を大きく左右します。建材に使われる素材のなかでも、頑丈で、 時に無骨で飾り気のない表情が魅力を持つのが「鉄」です。そして鉄の魅力を引き出す素材として注目されているものに「黒皮鉄」があります。
今回は、黒皮鉄の特徴や、建築に活用する際のメリット・デメリットについて解説します。また、黒皮鉄の魅力を表現しながら、鉄のデメリットを解決できる建材「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」もご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
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黒皮鉄とは「酸化皮膜(黒皮)で覆われた鉄材」
黒皮鉄とは、黒い酸化皮膜に覆われた鉄材を指します。この酸化皮膜は「黒皮(くろかわ)」または「ミルスケール」と呼ばれる酸化鉄です。黒皮は、約900~1200℃の高温で熱間圧延加工される過程で、鉄と空気中の酸素が結合して発生します。
完成した黒皮鉄の表面は個体差があり、独特の素材感を生かして、デザイン性を求められる部位やインテリアなどに使用されています。
黒皮鉄のメリット
黒皮鉄のメリットとして、次の3点が挙げられます。
● 鉄本来の素材感がある
● 唯一無二の意匠性がある
● 経年変化を楽しめる
鉄本来の素材感がある
鉄を建材として使用する際には、錆(さび)や劣化を防ぐため、表面に塗装やメッキ加工を施すのが一般的です。しかし、黒皮鉄は塗装を施さないため、傷や色ムラ、表面の凹凸といった、鉄ならではの無骨な素材感を生かせます。飾り気のない独特の存在感が、空間に深みと個性を与えるでしょう。
唯一無二の意匠性がある
黒皮は、鉄が熱い状態で酸化することで自然に生まれる皮膜です。素材ごとに異なる表情を持ち、製品に唯一無二の個性を与えます。まったく同じものがないという点が、黒皮鉄ならではの特別な意匠性を生み出しています。
経年変化を楽しめる
黒皮鉄は使用する環境や触れる頻度によって、その表情を少しずつ変えていきます。よく触る部分は色が濃くなり、湿気のある場所ではほんのり赤い錆が現れることがあります。
経年変化によって、使い込むほどに味わい深さが増し、使う人の関わり方がそのまま表現される点も大きな魅力です。
黒皮鉄のデメリット
魅力的な素材である黒皮鉄ですが、考慮すべきデメリットも存在します。
● 錆 のリスクがあるため適切なメンテナンスが必要
● 黒皮が硬く加工が困難
錆のリスクがあるため適切なメンテナンスが必要
黒皮は、金属表面と空気の接触を防ぐ酸化皮膜で、金属の表面を赤錆から守る機能があります。しかし鋼材との密着性が弱く、表面には微細な穴(ピンホール)や凹凸が存在するため、完全な防錆(ぼうせい) 効果は期待できません。錆を避けるには使用環境に合わせた適切なメンテナンスが不可欠です。
ただし、黒皮があると塗料の密着性が悪くなります。通常は、黒皮の除去後に塗装することが推奨されていますが、その場合、黒皮鉄本来の素材感が損なわれる可能性があります。
鉄本来の素材感と錆対策の両立が難しい点は、黒皮鉄のデメリットのひとつです。
黒皮が硬く加工が困難
黒皮は複数の酸化鉄層が重なって構成されており、内側の鉄材よりも高い硬度を持っています。そのため、加工が難しいという特性があります。
特に、切削加工をする際には、工具の摩耗が進みやすいうえに、作業時間も長くなりやすいでしょう。また、衝撃が加わると黒皮がはがれるリスクもあります。
黒皮鉄ならではの加工の難しさは、コスト増や工期の延長につながる可能性もあります。
建築における黒皮鉄の用途
黒皮鉄は、もともと建物の構造材としてよく利用されていました。しかし、無骨で落ち着いた雰囲気をはじめとする素材が持つ独特の表情が評価され、さまざまな場面で活用されるようになっています。
例えば、ダイニングテーブルの脚や天板、スツールなどの家具に採用されています。古材との相性も抜群で、組み合わせることでアンティーク家具のような味わい深さを演出できるでしょう。
また、インダストリアルデザイン(工業的なデザイン)との親和性も高く、現代的な空間に重厚感や個性を加えるアクセントとして存在感を放ちます。
黒皮鉄の特徴を持ち、課題を克服するアートテック
アートテックの黒皮鉄柄のイメージ |
黒皮鉄には上述のような複数のメリットとデメリットが存在しており、使用に際しては事前に十分な検討が必要です。そこで紹介したいのが、黒皮鉄の特長を持ちながら、その課題を克服する代替素材となる「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック」です。
アートテックは、DNPが長年培ってきた高精細な印刷技術を駆使し、本物の素材と見分けがつかないほどリアルでさまざまな柄を表現します。黒皮鉄柄のアートテックは、鉄本来の無骨な質感や自然に形成される黒皮のムラ感、そして見る角度によって変化する光沢も、細部にわたって忠実に再現可能です。
また、フッ素塗料を用いた焼付印刷を採用しているため、傷や剥がれに強く、屋外でも長期間にわたって美しい状態を保てます。
軽量化が求められる場所や屋外で錆のリスクを避けたい場所など、これまで黒皮鉄の採用を諦めていたシーンでも、アートテックが新たな可能性を広げることでしょう。
黒皮鉄柄アートテックの採用事例
実際に黒皮鉄柄のアートテックがどのように活用されているのか、事例を通して見ていきましょう。
豊洲2丁目 クロスプラザ
「豊洲2丁目 クロスプラザ
」は、豊洲駅直結の「豊洲ベイサイドクロス」の1階にある施設で、2020年4月にオープンしました。周辺住民から来訪者、オフィスワーカーまで、さまざまな人が休憩場所やワークスペースとして、自由に利用できます。
この施設の外壁に、アートテックの黒皮鉄柄が採用されています。周囲との調和を意識しながら、黒皮鉄が持つ素材感によって落ち着きのある外観を実現しました。
黒皮鉄の持つ魅力を生かしつつ、施工性やメンテナンス性といった実用面での課題を解決できており、アートテックの特性が生きている事例といえるでしょう。
まとめ
黒皮鉄は、その無骨な美しさやひとつとして同じものがない意匠性、そして経年変化を楽しめる点が大きな魅力です。一方で、錆のリスクや加工の難しさといった課題も持ち合わせています。
アートテックは、黒皮鉄の課題を解決しながら、その魅力を最大限に再現できる建材です。高精細な印刷技術で本物と見紛うほどのリアルな黒皮鉄柄を提供します。
軽量でありながら高い強度を持ち、優れた施工性とメンテナンス性を実現するアートテックは、重量やメンテナンス、コスト面で黒皮鉄の採用を断念していた設計者や建築関係者の方にとって、有力な選択肢となるのではないでしょうか。
【参考】出典元
鋼材の黒皮(ミルスケール)とは?特徴や除去する方法、黒皮材とミガキ材の違いを解説 PROTERIAL
黒皮(ミルスケール)とは?特徴用途、除去方法など基礎知識を紹介 金属加工総合メディア Mitsuri Media
黒皮とミガキ材とは?特徴や違い、用途などを紹介 meviy
金属の黒皮とは何か? 株式会社アスク
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*2025年6月現在の情報です。
*アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。