自然と共生する建築・バイオフィリックデザインを後押しする「アートテック」
働き方やライフスタイルの多様化に伴い、オフィスや居住空間のあり方が見直されています。そのなかで、人々の心身に良い影響をもたらす空間デザインとして注目されているのが、自然の要素を取り入れた「バイオフィリックデザイン」です。
今回は、バイオフィリックデザインの導入を検討している設計者や建築関係者の方に向けて、その魅力や効果、注意点などを解説します。あわせてバイオフィリックデザインのデメリットを解決し、導入を後押しする素材「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」についてもご紹介します。
-
アートテックを活用したソリューション・その他製品についてご相談承っております
INDEX:
バイオフィリックデザインとは「自然要素と共生する空間づくり」
バイオフィリックデザイン導入による3つの効果とメリット
(1)ストレス軽減と幸福度の向上
(2)集中力・生産性・創造性の向上
(3)コミュニケーションの活性化と企業イメージの向上
バイオフィリックデザインの注意点
バイオフィリックデザインの導入方法
建築物への導入イメージ
具体的な導入方法
理想の意匠と機能を両立するアートテック
自然素材のリアルな再現性
デザインの自由度とカスタマイズ性
木材の課題を解決する高機能性
軽量性と加工性による適用範囲の多様性
バイオフィリックデザインに貢献するアートテックの事例
パークウェルステイト西麻布
ブランズ自由が丘
まとめ
バイオフィリックデザインとは「自然要素と共生する空間づくり」
バイオフィリックデザインのイメージ |
バイオフィリックデザインとは、「自然と共生する空間づくり」をめざす考え方です。空間に自然の要素を取り入れ、人々の心身の健康と幸福感の向上を目的とします。バイオフィリックという言葉は、人間が本能的に自然や生命とのつながりを求める「バイオフィリア」という概念に由来しています。
都市化が進んだことにより、自然と触れ合う機会は減少してしまいました。しかし、バイオフィリックデザインを採用すれば、都市にいながらにして自然を感じられる空間を提供できます。それによって、ストレスの軽減やリラックス効果などが発揮されることが期待されています。
バイオフィリックデザイン導入による3つの効果とメリット
バイオフィリックデザインによる効果とメリットは主に3つあります。
(1)ストレス軽減と幸福度の向上
第一のメリットとして、ストレス軽減と幸福感の向上が挙げられます。
ケイリー・クーパー博士の研究*によると、自然を感じられるオフィスでは幸福度が15%も高くなるという結果が出ています。つまり、自然を感じられる空間は人々の心に安らぎを与え、ストレスを和らげると考えられるでしょう。
緑や自然光を取り入れたバイオフィリックデザインによって、リラックス効果が高まり、日常の疲れを癒すことが期待されます。
*参考:Human Spaces The Gloval Impact of Biophilic Design(PDFが開きます)
(2)集中力・生産性・創造性の向上
上述したクーパー博士の研究では、自然を感じられるオフィスでは生産性も6%向上したと報告されています。つまり、自然要素がある環境では、脳の疲労が軽減され、集中力を維持しやすくなると考えられるでしょう。
同様に、バイオフィリックデザインによってオフィスに自然要素を導入することで、心身がリフレッシュされて新しいアイデアが生まれやすくなり、創造性の向上も期待できます。
(3)コミュニケーションの活性化と企業イメージの向上
リラックスできる心地よい自然な空間は、コミュニケーションの活性化を促します。会話が弾めば社内の連携強化も期待できるでしょう。
また、バイオフィリックデザインを取り入れた企業は、環境意識の高さや従業員を大切にする姿勢を持っていることをアピールできるので、企業イメージの向上にもつながります。
ここで紹介したバイオフィリックデザインのメリットは、オフィスだけでなく、住宅、ホテル、商業空間など、さまざまな施設に好影響を与えることが期待されています。
バイオフィリックデザインの注意点
バイオフィリックデザインには注意すべき点もあります。
まずは素材と場所の関係です。木材や石材、竹などの自然素材は、その特性によって使用できる場所が限定されるケースが少なくありません。例えば木材の場合、屋外での使用や水回りでの使用に適さない種類もあります。石材の場合は、重量の関係で設置や加工が難しいケースもあります。また、素材によっては、導入時の調達と建築のコストが上がる可能性もあるでしょう。
次に、導入後の管理が必要な点も注意が必要です。植物や水景などの直接的な自然要素は、水やり、剪定(せんてい)、土壌管理、水景の清掃などが定期的に発生するため、導入後の維持管理の方法やコストを考慮しておく必要があります。また、植物の種類によっては、花粉症をはじめとするアレルギーを引き起こす可能性や、虫の発生リスクも考慮しなければなりません。
自然素材を用いる際には、それぞれの分野の専門家に相談し、綿密に計画を立てて進めることが重要です。
バイオフィリックデザインの導入方法
バイオフィリックデザインの導入には、さまざまなアプローチがあります。建築物への具体的な導入イメージと導入方法についてご紹介します。
建築物への導入イメージ
建築物にバイオフィリックデザインを取り入れる方法は多岐にわたります。建築物の内外装を木質化したり、石材を採用したりすることも方法のひとつです。既存の建築物であれば、室内に観葉植物を置いたり、天井や壁を緑化したりすることで比較的簡単に導入できます。その他、自然に近い色合いの照明を選ぶ、心を落ち着かせる自然音を導入するといった方法も効果的です。
自然要素を取り入れる空間づくりでは、「光」「水」「風」の要素の取り入れ方を工夫すると良いでしょう。光を取り入れる事例としては、大きな窓を設けて自然光を活用する、影が生じるエリアを作り出して空間に落ち着きをもたらすなどが挙げられます。また、水の場合は滝や小川などの水の流れを配置する、風の場合は心地よい風を感じられる通風計画を立てるといった活用方法が考えられるでしょう。
具体的な導入方法
バイオフィリックデザインを効果的に導入する際には、さまざまな分野の専門家への相談と、長期的な視点での運用が不可欠です。
大規模な壁面・屋上緑化や自然素材の使用は、建築物への荷重が大きくなる可能性があるため、初期段階から慎重な設計が必要です。また、観葉植物や壁面緑化などの導入にはスペースが必要となるため、導線や景観を妨げずに配置する工夫も求められます。さらに、導入後のメンテナンス計画についても事前に立てておくべきでしょう。
理想の意匠と機能を両立するアートテック
理想のバイオフィリックデザインの実現には、適切な素材選びが重要です。しかし、「バイオフィリックデザインの注意点」で触れたように、自然素材にはデメリットも存在します。そこで、バイオフィリックデザインを後押しする素材として期待できるのが、DNPの内・外装焼付印刷アルミパネル「アートテック」です。
アートテックは、自然素材のデメリットを克服しながら、自然素材らしい美しい表情を忠実に再現できる特徴を持っています。
自然素材のリアルな再現性
アートテックは、DNPが培ってきた高度な印刷技術により、木目や石目などのさまざまな自然素材の質感や色合いを極めてリアルに再現可能です。その精緻な表現力は、本物の素材と見間違えるほどのクオリティを持ちます。本物の自然素材では実現が難しかった場所や環境でも、自然のぬくもりや美しさを表現できます。
デザインの自由度とカスタマイズ性
アートテックは高いデザインカスタマイズ性を持っていて、色、柄、質感の自由な表現が可能です。印刷ならではの多層構造により、希望のコンセプトに合わせた多様なデザインを実現します。
バイオフィリックデザインのコンセプトを忠実に表現できれば、建築の可能性が大きく広がります。
木材の課題を解決する高機能性
木材は魅力的な素材ではあるものの、腐食や劣化、メンテナンスの手間などの課題があります。アートテックはフッ素塗料による焼付印刷により、屋外でも長期間に渡って竣工時の美しさを保てる点が特長です。色あせや変形に強く、メンテナンスの頻度を大幅に減らせるため、建築後のコスト低減にも貢献します。
軽量性と加工性による適用範囲の多様性
アートテックはアルミを基材としているため、軽量で高い加工性があります。外壁、内壁、天井、庇(ひさし)、幕板、ルーバーなど、建築のさまざまな部位に柔軟に取り入れることが可能です。また、複雑な形状への加工も容易であるため、デザインの自由度を高めながら施工の効率化も実現できます。
バイオフィリックデザインに貢献するアートテックの事例
ここからは、アートテックがバイオフィリックデザインに貢献している建築事例を紹介します。アートテックが空間の魅力をどのように高めているか、ぜひ注目してください。
パークウェルステイト西麻布
港区西麻布にあるパークウェルステイト西麻布
は、2024年竣工のシニア向けサービスレジデンスです。都心に位置しながらも豊かな自然を感じられるよう、バイオフィリックデザインが取り入れられました。
エントランスにある車寄せの庇部分と、正面から見える最上階の一部軒天に、木目調アートテックの大きなパネルを使用しています。木目調の艶を抑えた意匠が、建築物全体に落ち着いた雰囲気をもたらし、周囲の自然環境との調和にも貢献しています。
ブランズ自由が丘
世田谷区の九品仏川緑道沿いに建つ環境配慮型マンションであるブランズ自由が丘
は、屋内外に存分に緑化を施すことでバイオフィリックデザインを実現しました。
エントランスゲート、バルコニー軒天、幕板部分など、広範囲に木目調のアートテックを採用しています。天然木を感じさせる落ち着いた色合いの美しい意匠が、周囲の植栽と調和し、マンションの外観に洗練された存在感を与えています。
まとめ
バイオフィリックデザインは、空間に自然の豊かさをもたらし、心身の健康と生産性の向上に貢献します。これからの時代に欠かせないデザインとなるでしょう。
一方で、自然素材を使用するには、素材の特性による使い分けやコスト、メンテナンスの手間など、解決しなければならない課題もあります。
コストやメンテナンスの手間を抑えつつ、高いデザイン性と機能性を両立したいとお考えであれば、DNPの内・外装焼付印刷アルミパネル「アートテック」が有力な選択肢となるでしょう。リアルな自然の表情を再現しながら、優れた耐久性と環境性能を兼ね備えたアートテックを、ぜひ選択肢に入れてみてください。
【参考】出典元
バイオフィリックデザインとは?効果・メリットやオフィス導入事例をご紹介 パソナ日本総務部
『バイオフィリックデザイン』から得られる効果とは|実は多くの理にかなったオフィス緑化 Panasonic EW Networks
注目のバイオフィリックデザイン~自然を取り入れた空間デザインとは~ JVCケンウッド・公共産業システム
-
アートテックを活用したソリューション・その他製品についてご相談承っております
-
*2025年7月現在の情報です。
*アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。