【大阪・関西万博】バーチャル万博で全国の高校生たちが交流
3校合同の特別授業実施レポート

DNPは大阪・関西万博の開催期間中、「EXPO 2025 バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~」を活用した特別授業を、高校・特別支援学校の生徒を対象に株式会社steAmの協力を得て実施しました。 授業では、バーチャル万博のボイスチャットを用いて遠隔コミュニケーションを取り、パビリオンを巡り、考えや意見を出し合いました。 本稿では、9月に実施した3校合同の特別授業の様子をご紹介します。

目的と背景

Society5.0の実現に向けた教育・人材育成のあり方について、内閣府、文部科学省、経済産業省で議論が行われ、「主体的・対話的で深い学び」による資質・能力の育成や「持続可能な社会のつくり手」の育成が検討されています。その中では、知識学習とは異なる“探究的・創造的な学び”が重視されており、多様な視点やアイデアを持つ人々が居住地や年齢を超えて主体的に学び合い、社会とつながる実践的な学びが重要とされています。
DNPは、「いのちの遊び場 クラゲ館」への協賛を契機に、主体的な学びの第一歩となる「気づき」を触発する空間「きづきの杜」を構築しました。この学びの空間で「主体的・対話的で深い学び」に必要な「交流」に重点を置き、学校の枠を超えた合同授業を実施しました。

バーチャル万博内 DNPルーム「きづきの杜」イメージビジュアル

バーチャル万博とは

EXPO 2025 バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~ ロゴ

2025年大阪・関西万博のバーチャル会場。
アバターとして実際の建物が再現されたパビリオン・イベント施設を巡り、各出展者が展開するバーチャルならではの展示やイベントを楽しむことができます。
※バーチャル万博は2025年10月13日23:00をもってサービスを終了しました。

バーチャル万博の会場について(EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト)

第一回特別授業

6月、9月に、バーチャル万博の導入編となる授業を実施。授業ではアバターの操作方法やボイスチャットの使用上の注意を確認しました。
バーチャル万博の交流編となる初の3校合同授業では、バーチャル空間に全35名の生徒が集まり、それぞれの地元の紹介やバーチャルでの交流について意見を交わしました。

実施概要

テーマ バーチャル万博を用いた学校間交流体験
実施日時 9月22日(月)8:55~10:45
参加校 ・大阪府立淀商業高等学校  Webサイト
・三重県立松阪商業高等学校 Webサイト
・沖縄県立宮古特別支援学校 Webサイト
協力 大阪府教育庁、株式会社steAm

バーチャル空間内で他校の生徒同士で交流する様子

授業の様子(三重県立松阪商業高等学校)

授業の様子(大阪府立淀商業高等学校)

授業の様子(沖縄県立宮古特別支援学校)

実施結果

参加した生徒に対して行ったアンケートでは、以下のような感想が寄せられました。

  • 初対面だったが、アバターの衣装やニックネームから会話を広げることができた。
  • 人見知りだが、アバターの姿で緊張せず会話することができた。
  • 初めて他県の生徒と会話をして、言葉のイントネーションや、お互いの学校の違いを実感することができた。バーチャル空間上で地理的に離れた人とも身近な感覚で会話することができた。

参加校の先生方からは以下のようなコメントをいただきました。

  • 大阪府立淀商業高等学校 北本 慎先生
    メタバース空間の構築は授業で扱ったことがあるが、メタバース上で交流する機会はなかった。今回、最初こそ緊張していた生徒たちも、ボイスチャットやテキストチャットを駆使し、積極的にコミュニケーションを取ることができていた。
  • 三重県立松阪商業高等学校 福井 竜一郎先生
    他校との交流は初めての取り組みだったが、今回のような交流体験を生徒たちの成長につながるものとしていきたい。メタバース空間の可能性を感じることができた。
  • 沖縄県立宮古特別支援学校  下地 勇也先生
    他県の生徒と関わる機会があまりないため、良い機会になった。自己主張がどこまでできるのか想像できなかったが、時間がたつにつれ、生徒たちもたくさんコミュニケーションが取れるようになっていた。

今回の取組みは、各校の先生方が学校や地域を超えた交流に高い関心を持って取り組んでくださったことで、実現することができました。
ご参加くださった生徒も他府県のみなさんと積極的に交流され、バーチャル空間を活用した学びの可能性が感じられました。

第二回特別授業

第二回特別授業では、地域を超えた3校の生徒が各学校の特色ある活動を発表した後、バーチャル万博に集合しました。3校を組み合わせた4、5人のグループを作り、それぞれアバター姿で発表内容やその他地域の特徴について意見交換をしました。

実施概要

テーマ 取り組み発表とバーチャル空間での意見交換
実施日時 10月10日(金)13:30~15:00
参加校 ・大阪府立工芸高等学校   Webサイト
・徳島市立高等学校     Webサイト
・沖縄県立美来工科高等学校 Webサイト
参加人数 64名
協力 大阪府教育庁、株式会社steAm

バーチャル空間内で他校の生徒同士で交流する様子

授業の様子(大阪府立工芸高等学)

授業の様子(徳島市立高等学校)

授業の様子(沖縄県立美来工科高等学校)

授業の様子(沖縄県立美来工科高等学校)

実施結果

参加した生徒に対して行ったアンケートでは、以下のような感想が寄せられました。

  • 地域も学年も超えた交流機会はリアルの世界ではあまりないため、授業内容や地域性の相違点を探すのが楽しかった。
  • ゲーム等で他県の人と話す機会は度々あるが、今回はお互いに生徒という立場で交流できた。
  • 進路、進学について深く会話したかった。将来の考え方は周りの環境や学んでいることによって変わると思っており、会話を通し自分の見方も変わると思うから。

2回目の取り組みでは、各校の取り組みや学校の特徴を発表した後にバーチャル空間での交流を実施しました。
ご参加くださった生徒は、事前のインプットがあったことで前回よりも対話がスムーズで、各校の授業内容について熱心に話し合っている様子が散見されました。

これからのDNPの取り組みについて

DNPは、“未来社会の実験場”である大阪・関西万博での取り組みを通じて、多様な人々が学びあい、活力ある未来を創造する人材の育成を実現する事業の創出をめざします。

  • 2025年10月現在の内容です。

未来のあたりまえをつくる。®