新パスポート「2025年旅券」とは?古物商における本人確認業務への影響と対応策
2025年3月24日から、海外旅行に不可欠なパスポートが「2025年旅券」として新仕様に切り替わりました。券面のセキュリティ強化やオンライン申請の導入など、利便性と安全性が向上しています。本コラムでは、本人確認書類としてのパスポートの役割と、偽造・不正利用へのリスク対策として注目される真贋判定補助システムについて紹介します。 (2025年10月時点の情報)
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資料内に各身分証ごとの特徴などについて記載しています。
1.そもそもパスポートとは?
パスポートは、日本国政府が発行する公的な身分証明書であり、海外渡航時の出入国管理や現地での手続きに必要不可欠な文書です。所持者が日本国民であることを証明するとともに、外国政府に対してその保護と援助を要請する役割も担っています。また、運転免許証やマイナンバーカードと並び、金融・通信・行政など多様な分野で本人確認書類として提示される機会が多く、真贋判定の精度向上は不正利用の防止に直結する重要な要素です。
関連サイト:旅券の基本情報|外務省
2.新仕様導入の背景 ― ICAO勧告と国際的な偽造対策の強化
2025年3月24日から導入された「2025年旅券」は、国際民間航空機関(ICAO)の勧告に基づき、旅券の安全性と信頼性を高めるために設計されました。背景には、世界的に増加する旅券の偽造・変造リスクへの対応があり、各国に対して発行体制の集約と高度なセキュリティ技術の導入が求められています。
ICAOは、旅券の発行を一元化することで、偽造防止の精度を高めるとともに、国際的な渡航の安全性を確保することを推奨しています。これを受け、日本では従来の都道府県単位での発行から、国立印刷局による集中作成方式へと移行しました。国立印刷局は紙幣製造などで培った高度な印刷技術を有しており、旅券のセキュリティ強化に最適な機関です。
このような国際的な流れと国内の対応が、新仕様導入の背景にあります。
関連サイト:国際民間航空機関(ICAO)|外務省
3.新しいパスポートの変更点
新仕様の「2025年旅券」は、ICAOの勧告を踏まえたセキュリティ強化と利便性向上を目的に設計されました。本人確認書類としての信頼性を高めるため、以下のような変更が加えられています。
主な変更点
●顔写真ページの素材と技術:ICチップと一体化したプラスチック製ページに、個人情報がレーザーで印字・印画され、偽造が困難に。
●作成場所の変更:従来は都道府県で作成していたパスポートが、国立印刷局で集中作成される方式に変更。
●申請・交付期間の変更:国内では約2週間、国外では最大1か月程度の交付期間が必要に。
●オンライン申請の開始:全国すべての都道府県で、マイナポータルを活用したオンライン申請が可能に。戸籍謄本の提出も不要となり、手数料も窓口申請より安価です。
これらの変更は、偽造防止だけでなく、申請者の利便性向上にも寄与しています。
関連サイト:旅券(パスポート)の変更について|外務省
4.本人確認が求められる背景と多様な業界への広がり
パスポートは、海外渡航時の身分証明書としてだけでなく、国内においても本人確認書類として広く活用されています。近年では、デジタル化の進展や不正利用の増加に伴い、本人確認の重要性が高まっており、さまざまな業界で法令に基づく本人確認義務が強化されています。
以下は、主な関連法令と対象業界の一覧です。
| 本人確認義務について定められている法律 | 関係業界 |
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| 犯罪収益移転防止法 | 金融機関、宅建業者、貴金属取扱業者、士業、自治体など |
| 携帯電話不正利用防止法 | 携帯キャリア、契約代理店、レンタル事業者 |
| 古物営業法 | 中古品・古物商事業者 |
| 労働者派遣法 | 人材派遣会社、人材紹介業者、求人広告事業者 |
このように、本人確認は社会の安全性と信頼性を支える基盤であり、パスポートはその中核を担う重要な書類です。
5.パスポートが本人確認に使用される業界「古物商」と「人材派遣」
古物商業界
古物商業界では、物価高や環境意識の高まりを背景に、割安で持続可能な消費スタイルとして中古品の需要が拡大しています。2024年の市場規模は前年比4.5%増の3.3兆円に達し、15年連続で成長を続けています。この市場拡大の一因として、訪日観光客の増加によるインバウンド需要が「追い風」となっており、特にブランド品やホビー商材などを中心に、外国人顧客による購買が活発化しています。こうした流れの中で、店舗での本人確認書類としてパスポートが提示される機会も増えています。ただし、外国のパスポートについては真贋判定が難しいケースもあり、業界ではICチップの読み取りやAIによる判定支援ツールの導入など、本人確認の精度向上に向けた取り組みが進められています。
人材派遣業界
一方、人材派遣業界でも、パスポートは本人確認書類として広く利用されています。派遣登録時には、氏名・住所・生年月日が確認できる公的書類の提出が求められ、パスポートはその要件を満たす重要な書類です。また、外国人労働者の雇用に際しては、在留資格の確認とともに、パスポートによる本人確認が企業のコンプライアンス対応として不可欠です。
関連サイト:「リユース業界の市場規模推計2025(2024年版)」 :: リユース経済新聞
関連コラム:2025年10月1日より「室外機等の買取業者の本人確認義務化」古物営業法施行規則の改正案が施行
6.本人確認書類へのリスク対策 ―「ID確認システムPRO」の導入
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パスポートの偽造や不正利用は、個人情報の漏洩や不正取引など深刻なリスクを伴います。これらのリスクに対して、真贋判定補助システムの導入が有効です。DNPアイディーシステムが提供する真贋判定補助ツール「ID確認システムPRO」は、アプリケーションのバージョンアップにより、2025年旅券「新パスポート」にも対応。対面における本人確認業務の効率化と信頼性向上に寄与しています。
ID確認システムPROならA6サイズスキャナで、パスポートも真贋判定が可能に
近年、犯罪グループによる詐欺事件などにおいて、偽造身分証が使用されるケースがあります。偽造身分証を厳格に真贋判定するツールとして、DNPアイディーシステムでは「ID確認システムPRO」という本人確認強化ソリューションを提供しています。「ID確認システムPRO」は、携帯電話会社、本人確認を要する高級品の買取・販売会社などの対面における本人確認業務をサポートしています。
DNPアイディーシステムの「ID確認システムPRO」は、パスポートを含む6種類の本人確認書類(※)に対応し、ICチップの情報と券面のスキャンを組み合わせて偽造判定を行います。異常が検出された場合は、偽造・変造の疑いがあるとして警告を表示。本人確認業務の効率化とリスク低減に貢献します。
※:運転免許証/運転経歴証明書/マイナンバーカード/在留カード/特別永住者証明書/パスポート(日本国)
偽造パスポートの見極め方法
ID確認システムPROは、日本国や短期滞在の外国人が持つICAO準拠パスポート(旅券)のICデータを読み取り表示ができることが特徴です。券面情報とICチップ内の情報を比較し、内容に差異がないかを目視で確認することで、厳格なパスポートの本人確認が可能となります。
動画:ID確認システム PRO パスポート編(1:24)
7.ID確認システムPROの効果的な導入事例
導入事例「株式会社ネクストトゥエンティワン JACKROAD&BETTY様」
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株式会社ネクストトゥエンティワン JACKROAD&BETTY様は、中野ブロードウェイに実店舗を構える、時計・ジュエリー・バッグ等のブランド商品販売、買取りを行う企業です。古物営業法のもと、商品買取の際は身分証明書をチェックし本人確認を行っていますが、チェック基準が明確化しにくいため確認に時間がかかってしまったり、お客様とのトラブル発生が懸念されるため心理的負担が大きいものでした。ID確認システムPROを導入したことで身分証明書のチェック基準について標準化し、窓口担当者の手間と心理的負担を軽減することができました。
導入事例「株式会社KDN様」
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株式会社KDN様は、高級腕時計の買取/販売、委託販売を行う腕時計専門の店舗/ECサイトのTICKを経営している古物商事業者です。KDN様では、売主が身分を偽って持ち込む「盗品」の買取リスクを回避するため、売主の顔写真付身分証明書を確認しております。今回、盗品買取リスク低減のため身分証明書の真贋判定をサポートするID確認システムPROを導入しました。
8.まとめ
2025年旅券の導入は、国際的な偽造対策の強化と国内の本人確認制度の高度化を背景に、セキュリティと利便性の両面で大きな進化を遂げました。パスポートは、海外渡航時だけでなく、国内の多様な業界においても本人確認書類として重要な役割を担っており、その信頼性の向上は社会全体の安全性にも直結します。
特に、古物商や人材派遣業界など、外国人との取引や雇用が増加する分野では、パスポートの真贋判定の精度が業務の信頼性を左右する要素となっています。こうした背景から、ID確認システムPROのような真贋判定補助ツールの導入は、本人確認業務の効率化とリスク対策において、今後ますます重要性を増すでしょう。
本人確認の精度向上は、企業のコンプライアンス対応だけでなく、利用者の安心にもつながります。新しいパスポートの活用と、それを支える技術の進化により、より安全で信頼性の高い社会の実現が期待されます。
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