リスクマネジメント
基本的な考え方
DNPグループは、地球環境の持続可能性を高め、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしを実現していく新しい価値の創出に努めており、それによってDNP自身の持続的な成長を達成していきます。社会環境の急変など、経営に影響を与える変動要因がますます多様かつ広範囲になるなか、全社のリスクを適切に評価・分析して中長期的な経営戦略に反映し、事業機会へと変換するプロセスを強化することが、よりサステナブルな社会への貢献と、当社が標榜する「未来のあたりまえ」につながると考えています。
推進体制
基本的な考え方に基づき、中長期的なリスクの管理と事業機会の把握、経営戦略への反映を担う「サステナビリティ推進委員会」を代表取締役社長が委員長に就いて運営しています。また、自然災害をはじめとする有事の際も社員の安全を確保して生産活動を維持し、企業継続を担保する「BCM推進委員会」、企業継続の基本となる社員のコンプライアンス意識の向上を図り、リスクの低減を図る「企業倫理行動委員会」を合わせた3つの委員会が互いに連携し、全社的リスクを網羅する体制を構築して、統合的なリスクマネジメントを推進しています。
また、取締役会は、各委員会で協議・決議された事項の報告・提言を受け、DNPグループのリスクマネジメントに関する対応方針並びに実行計画等について、審議・監督を行っています。
●サステナビリティ推進委員会
サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに係るDNPグループのあり方を適切に経営戦略に反映していくため、年4回の定例開催を基本として必要に応じて適宜開催し、以下の内容の協議を行い、取締役会に報告と提言を行います。
- サステナビリティに関する中長期的な経営リスク管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映
- サステナビリティ活動方針の策定と各部門での実行の統括
- サステナビリティに関する課題の掌握、目標・計画の策定、計画推進・活動状況の評価及び是正・改善
●企業倫理行動委員会
企業倫理行動委員会は、企業継続の基本となる社員のコンプライアンス意識の向上を図り、リスクの低減を図る組織として、内部統制を統括しています。毎月1回以上開催する委員会にて、以下の内容の協議を行い、取締役会に報告と提言を行います。
- グループ全体のコンプライアンス体制に関する方針や各種活動の実施計画の立案・決定
- 実施計画にもとづく体制構築や運用の総合的な検査・指導、見直し
●BCM推進委員会
BCM推進委員会は、自然災害等の有事の際でも、社員の安全を確保し生産活動を維持できるよう、企業継続を担保する組織として事業継続リスクへの対応を行っています。年4回の定例開催を基本として必要に応じて適宜開催し、以下の内容の協議を行い、取締役会に報告と提言を行います。
- 事業継続マネジメント体制の構築
- 防災活動の推進
リスク管理
DNPは、変動要因によるマイナスの影響を最小限に抑えるとともに、事業機会の拡大につなげるため、統合的なリスクマネジメントを推進しています。特に重要度や優先度が高いリスクについては、リスク管理部門を選定し、経営会議での協議を経て事業戦略・計画に反映しています。機会については、DNPグループ全体で注力する事業を定め、戦略的な事業展開につなげています。
事業等のリスク
リスクを適切に評価・分析して中長期的な経営戦略に反映させることでリスクの低減に努め、事業機会へと変換する取り組みを推進しています。なかでも、「情報・サイバーセキュリティの脅威・規制強化」、「DX推進・AI利用の拡大」を新興リスクとして捉え、対応を強化しています。
また、DNPが事業活動を継続していくためには、法令を遵守することはもとより、全社員が社会倫理に基づいた誠実な行動をとることが重要であると考えています。これらの社員の行動のあり方を定めた「DNPグループ行動規範」 を基本とする当社の視点と、国際規範をはじめとする社会全体の視点の両面から重要性を分析し、「公正な事業慣行」「人権・労働」「環境」「責任ある調達」「製品・サービスの安全性と品質」「情報セキュリティ」「企業市民」を重点テーマとし、サプライチェーン全体を通じたリスクマネジメントの徹底を図っています。
主要なリスク | |
---|---|
リスク | 負の影響の低減・事業機会へと転換する取り組み |
人権に関するリスク |
|
労働安全に関するリスク |
|
製品・サービスの安全性と品質に関するリスク |
|
情報セキュリティに関するリスク |
|
法令・社内規定の遵守に関するリスク |
|
サプライチェーンに関するリスク |
※年間購入額上位90%を占めるサプライヤー、事業継続上重要なサプライヤー |
自然災害等に関するリスク (気候変動による水リスク、大規模地震、新たな感染症など) |
|
中長期的に特に対応が必要なリスク | |
---|---|
変動要因 | 負の影響の低減・事業機会へと転換する取り組み |
環境関連のリスク・機会となる変動要因
など |
|
社会関連のリスク・機会となる変動要因
など |
|
経済関連のリスク・機会となる変動要因
など |
|
事業継続計画(BCP/BCM)
事業の存続を脅かすような緊急事態が発生し、事業活動が中断すれば、自社のみならず、顧客や取引先、そこに働く人たちをはじめ、さまざまなステークホルダーにも影響を及ぼすことになります。こうした事態に備え、DNPでは対策推進組織として本社に「BCM推進委員会を設置するとともに、各事業部に事業部グループBCM推進委員会を設置しています。この体制を活かし、「災害発生時の人的安全対策を最優先すること」「会社の災害に対する対応力と復旧力を高めること」を基本として、日頃から災害リスクを正しく認識して適切な予防対策などを推進しています。
具体的には、製造設備やその他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図り、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定し、その適切なマネジメント(BCM)を推進することで、有事においても事業活動が早急に復旧できる強い企業体質の構築に努めています。
不測の事態に備えた防災体制
DNPは、グループ全体の基本的な防災対策を整備・推進する「中央防災会議」、各事業の特性に合った具体的な防災対策を推進する「事業部・グループ会社防災会議」、地区・エリアでの連携を深めて防災対策を推進する「地区防災会議」を設置し、防災計画の作成や予防対策の推進を行っています。災害等の不測の事態に対しては、「DNPグループ災害基本規程」として基本方針や推進体制を定め、社員と家族、関係者の安全を確保し、様々なステークホルダーに安心していただけるようにさまざまな防災対策を進めています。
本社 | 各事業部・グループ会社 | |
---|---|---|
常設の防災組織 |
DNPグループ中央防災会議 議長副議長 事務局 対策部会 ・ 人的対策部会 ・ 構築物等対策部会 ・ 財産保全対策部会 ・ 事業活動対策部会 ・ 広報対策部会 ・ 地域対策部会 |
各事業部・グループ会社防災会議 議長副議長 事務局 対策担当 ・ 人的対策担当 ・ 構築物等対策担当 ・ 財産保全対策担当 ・ 事業活動対策担当 ・ 広報対策担当 ・ 地域対策担当 防火、防災管理者(自衛消防組織) ※事業部・グループ会社ごとに設置 複数の組織により構成される地区には、防災対策の組織横断的な推進のために地区防災会議も設置 |
機能と役割 |
DNPグループにおける総合的かつ計画的な防災対策の整備及び推進 |
事業内容及び地域特性を考慮した実践的な防災対策の推進 |
規程、計画等の整備 |
DNPグループ災害対策基本規程 |
・ 防災業務計画 |
災害発生時の対策組織 |
DNPグループ中央災害対策本部 ※ DNPグループ中央防災会議の組織がそのまま移行し、全社的な災害応急対策及び災害復旧・復興、その他必要な災害対策を統括、推進 |
各事業部・グループ会社災害対策本部 ※ 各事業部・グループ会社防災会議の組織がそのまま移行し、被災事業場における災害応急対策及び災害復旧・復興、その他必要な災害対策を統括、推進 |
関連施策
社員教育
DNPは、企業活動においてすべての社員がとるべき行動を「DNPグループ行動規範」として制定し、「階層別研修」や国内外の全グループ社員に対し実施している「自律的企業倫理研修」を通じて浸透を図っています。また、サプライチェーン全体でのリスク対応の重要性を認識し、社員やビジネスパートナーに対して、DNPグループの人権方針や環境方針、サステナブル調達ガイドライン等への理解・賛同を促し、実行につなげています。
※すべての社員とは、DNPグループ各社の取締役、監査役、執行役員、顧問、各社と雇用関係にある者および労働者派遣契約に基づく派遣社員です。