サステナビリティメッセージ

代表取締役社長 サステナビリティ推進委員会委員長 北島義斉の写真代表取締役社長 サステナビリティ推進委員会委員長 北島義斉の写真

「より良い未来」の実現に向けて、変革をさらに加速させていく

DNPグループは、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしは、サステナブルな地球の上でこそ成り立つと考えています。近年、環境・社会・経済が急激に変化し、経営に影響を与える変動要因がますます多様化・複雑化しています。
こうしたなか、私が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」では、事業活動に関わる課題を抽出し、それを単なるリスクとしてだけでなく、将来の成長につながる機会としても評価・分析しています。リスクと機会の両面から検討を重ねることで、中長期的な経営戦略に的確に反映しています。
私たちはまた、変化に柔軟かつ機動的に対応するだけでなく、変化を先取りして自らが変革を起こすことで、「より良い未来」の実現をめざしています。その一環として、私たちが「より良い未来」としてめざす「4つの社会」の実現に向けて、優先的に取り組む重要課題を「マテリアリティ」として特定しています。これに基づき、グローバルかつ長期的な視点で優先的に創出する価値を明確にし、中期経営計画の「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に沿った取り組みを推進しています。また、企業価値を高め続けて、あらゆるステークホルダーから信頼される企業であり続けるため、コーポレート・ガバナンスの一層の強化・充実に努めています。
今後も、経営基盤を着実に強化して新たな価値を継続的に創出するとともに、主体的なリスクマネジメントを徹底することで、持続的な成長を図ってまいります。

人的資本の強化

DNPグループの持続的成長の原動力であり、変革の要となる「人的資本」の強化は、私たちが価値を提供し続けるための最も重要な取り組みのひとつです。社員一人ひとりの存在は、「より良い未来」をつくり出す「重要な基盤」であり「強みの源泉」にほかなりません。「人的資本ポリシー」に込めた「社員を大切にし、大切にした社員によって企業が成長し、その社員が社会をより豊かにしていく」という信念のもと、人的資本の強化を進めています。
価値創出と成長を実現するには、社員一人ひとりが環境・社会・経済の変化を的確に捉え、自ら考え、主体的に挑戦していく必要があります。そのため、多様な人材が自律的に学び成長できる環境づくりとして、研修制度の充実や自己啓発の支援、社員の主体的・自律的な意思を重視した人材公募制度の拡充などを継続的に行っています。また、失敗を恐れず前向きにチャレンジする社員を称える表彰制度などに加え、組織の強みや課題の可視化、心理的安全性の高い職場づくりなど、制度と風土の両面から、社員の自律的なキャリア形成と挑戦を後押しする取り組みを積極的に展開しています。
これらの取り組みは、DNPグループが推進する「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I:多様性と包摂)」の考え方に基づいています。社員一人ひとりの「違い」を尊重し、互いに受け入れ、多様性を強みとして掛け合わせることで組織の力を最大限に発揮し、社会課題の解決や人々の期待に応える価値の創出につなげていきます。また、人権尊重の重要性が高まるなか、人権方針の策定や人権デュー・ディリジェンスの推進、マネジメント体制の強化も進めています。

知的資本の強化

技術・ノウハウ・人材などの知的資本は、私たちが社会に新しい価値を提供し続けるための基盤であり、競争力の高い製品・サービスの創出には、知の蓄積と活用が不可欠です。DNPグループは、持続的成長につながる、グローバルな競争力の高い製品・サービスを創出するため、長年培った独自の「P&I」(印刷と情報:Printing & Information)の強みをさらに磨いています。また、多様な企業・団体や大学・研究機関などのパートナーとの連携を深め、知的資本の価値をさらに高めていきます。
私たちは自らが描く「より良い未来」の実現に向けて戦略的な研究開発を推進し、継続的かつ積極的に投資しています。環境負荷低減やウェルビーイング強化などのグローバルなニーズも先取りし、各国・地域に向けたマーケティングや研究開発の体制も強化しています。また、事業の成長と生産性革新の両面でDXを推進し、必要な技術の導入と人材の充実に努めています。
今後も、すべての部門が一体となった「オールDNP」で相乗効果を生み出し、社会課題の解決と持続的な成長を両立させる挑戦を続けていきます。

環境への取り組み

DNPグループは、地球環境との共生が企業の持続的な成長に欠かせないと考えています。環境課題への対応は、私たちが果たすべき社会的責任であり、事業の持続性を高める上でも重要な取り組みです。近年、気候変動や生物多様性の損失など自然環境の課題が深刻化するなか、環境保全・環境負荷低減をマテリアリティ(重要課題)と位置付けて、事業活動と地球環境との両立を追求しています。
「DNPグループ環境ビジョン2050」のもと、自然資本への依存と影響を体系的に評価し、リスクと機会を特定することで、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けた取り組みを加速させています。例えば、気候変動への対応では、国際社会がめざす「1.5℃目標」に準じた挑戦的な目標を掲げ、サプライチェーン全体でGHG排出量の削減を進めています。また、低炭素な材料・素材の開発・活用、不要物の削減や資源の利活用・リサイクルを重視し、製品・サービスを通じた環境負荷の低減にも注力しています。
引き続き、自然との共生を基盤とし、さまざまな環境課題の解決に取り組むことで、持続可能な社会の構築に貢献していきます。

2025年10月
代表取締役社長
サステナビリティ推進委員会委員長
北島義斉